FAQ(安全保障貿易管理、米国再輸出規制)
【一般事項編】
Q:該非判定については、経済産業省に直接依頼すれば検討してもらえますか
A:いいえ、一定の要件を満足する相談に限り、事前相談手続はあります。この手続によれば該非確認の一定の方向を得ることができます。但し、この場合でも確定した判断とはならないとの条件がありますので、最終的には輸出者となる方の責任により実施する必要があります。
Q:リスト規制に該当しないので、相手方に対して製品の用途、需要などの確認は不要ですか
A:いいえ、「輸出者等遵守基準」によれば、一定の要件を満たす輸出者等は取引に関する審査をするべき義務を定めています。この審査内容には、相手方の貨物の需要、用途の確認も含まれると理解されます。したがって、不要と解することは困難です。
Q:当社はミサイルに直接関係する部品の製造はない。そのため、該非確認する必要はないのではないか
A:ミサイル技術に使用される部品や付属品は、決してミサイルの製造に直接結びつくとは限りません。ミサイルの飛翔には、誘導部分、推進部分などに分解されますが、いずれも最先端技術の塊です。そして、これらの技術には高度の汎用技術が使用されます。そのため、直接製造にはあたっていなくても、該非確認は必須といえます。
Q:当社では、パラメータシート、項目別対比表を使用しているが、これらの使用は法的義務であるか
A:いいえ、法的義務ではありませんが、多忙な企業様の内情を考慮して、業界ではよく使用されることがあります。
Q:最近当社では、共同研究開発を海外の企業から持ちかけられました。その際に、当社の技術を秘密保全契約を締結の上で開示することも考えています。この場合、契約の存在を持って外国為替及び外国貿易法によるチェックは不要と理解してい宜しいか
A:いいえ、外国為替及び外国貿易法には、民事契約の存在による技術取引についても除外する規定はありません。許可例外としては、すでに公的にオープンになっている技術は別扱いとなっていますが、原則として役務取引に該当しますので該非確認などの所定の手続は必要です。
Q:とある大手企業から、項目別対比表の作成の強い指導を受けた。この作成は必ず必要なものか
A:いいえ、法的義務ではありませんが、多忙な企業様の内情を考慮して、業界ではよく使用されることがあります。
Q:当社は輸出をするわけではありませんが、非該当証明書の作成を依頼されたため作成しました。万が一のことですが、この証明内容が不正確であった場合、当社は外為法の制裁を受けるのでしょうか
A:いいえ、該非判定については、法律上は輸出者の責任となっています。そのため、契約行為が介在するなど特段の事情が無ければ、民亊責任を問われる法的関係にはありません。また、外為法の責任主体ともなりません。
【外国為替及び外国貿易法編】
Q:あるセンサーの該非判定を進めているが、海外製品であるため詳細がわからない。何かいい手立ては無いか
A:海外製品であれば、例えばその国がWA(ワッセナーアレンジメント)に加盟しているかどうか確認をしてみてください。
仮に加盟していれば、WAの規制項目番号に関する知識を有することが考えられます。また、WAの規制項目番号のリストを海外企業に送ることが考えられます。WAの規制リストはインターネットで閲覧できるため、お試しされることをお勧めします。
Q:LEDも半導体ダイオードを使用していると思われるが、規制されないか
A:半導体レーザダイオードの使用は考えられますが、レーザー化された光の放出をするメカニズムではないため、製品自体は直接規制されません。
Q:ある測定装置を海外へ輸出することを考えているが、その中にイメージ増強管や光検出器が含まれているようである。この場合は、「分離が困難」として特例措置により非該当扱いとしてよいか
A:詳細は各製品ごとに確認をする必要がありますが、経済産業省の担当官の見解では光検出器などは装置全体の破壊によって部品を取り出すことが多いと考えている節があります。そのため、多くの許可申請書においては、本体貨物以外にも光検出器などもリスト規制品目として挙げられていることを指摘しています(つまり、個別に許可申請の対象貨物とする)。
そのため、当然に非該当貨物とするのは論点が多いように思われます。
Q:貨物等省令の1~16項に該当するような貨物に使用されるために特別に設計した製品は、〈その他のレーザー発振器〉になるのか
A:原則からいいまして、CDプレーヤー、光通信機器のために特別に設計した半導体レーザー発振器は、省令9条十号二の規制番号には該当しません。
Q:レーザーは全体出力で考えるべきか
A:個々の半導体レーザー発振器で考えてください。例えば、半導体レーザーバー、スタックスアレーそれぞれの機能です(法令用語の詳細は、運用通達をご覧ください)。
【米国再輸出関連】
Q:EAR(米国再輸出規制)99に該当することがわかっているが、例えばこの99に該当すればテロ支援国家以外であれば問題ないと考えられるか
A:いいえ、例えば旧共産圏(中央アジアなど)を、99番号の物品、技術などが積替えや国境を通過する場合は事前に許可が必要となります。そのため、EAR99 であることが、すなわちEARフリーになることではありません。
Q:商取引に当たって、ITARやEARに関する輸出管理遵守条項のある取引契約を求められた場合は、個別の製品についてのECCN番号の特定をするところからはじめてもよいか。
A:米国製品を取り扱う場合なら、原則として米国製品(U.S.Origins)に該当すると考えられるため、ECCNの特定は望ましいと考えられます。
Q:日本国内において、ITAR登録をしてライセンスをする必要があるか
A:ITAR条項に、ライセンス(DSP-5など)を取得すべき当事者は原則として米国人のみとなっています。そのため、日本国内の日本企業(我が国の会社法により設立)にとっては、ライセンス取得の当事者とはなりません。TAA(技術提供協定)などについては、米国当事者が契約承認の当事者となりますため、詳細はTAAガイドラインなどを参考に確認をする必要があります。
Q:ITARの登録はライセンス以外にも必要か。
A:米国防衛リスト(USML)に該当する貨物等の製造、輸出をする米国内の法人等は、ライセンスの取得の前に事前登録が必要となります。これは、TAA(技術提供協定)に関しましても、米国の技術提供者は登録が必須となっています。
Q:EARとITARの貨物管轄について疑義があるなど、いろいろな論点があればどのようにしたら良いか。
A:電子メールでの問い合わせもありますが、具体的な回答を求める場合は一般的なメールによる質問手続では困難な場合があります。そのため、必要に応じて、会社のレターヘッドを元に、必要な情報を資料として米国政府に送ることが求められます。
Q:日本国内でITARを意識する必要があるとすれば、どのような場合か。
A:宇宙スペック等にかかわる製品、技術の開発に当たっては、ITARに関わることがあります。その技術などを海外へ移転する場合は、当該技術の米国からの移転フローを必ず確認してください(ITAR規制製品が原因不明でありながら国内に出現することはありません)。この確認がないと、海外への再輸出、再移転は許可処分の視点より不可能です(再移転に関しては、必ず米国政府の関与の確認が求められるためです)。
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