FAQ(標準化活動)


【新市場創造型標準化制度について】

Q1)「新市場創造型標準化制度」について聞きたい。この「新市場」、「創造」とはどのようなものか。例えば企業の事業計画を持ち出して議論する内容であろうか。

回答:

これは、標準化アドバイザーなどの裁量的な判断によります。そのため、必ずしも事業計画云々の話ではありません。要は、企業の営業戦略が新たなフロンティアを開拓していく前向きな内容かどうかが判断基準となると考えられます。

 

Q2)標準化アドバイザーにお支払いする費用はかかりますでしょうか。

回答:

いいえ、一切かかりません。ただし、標準化アドバイザーを受け入れる前までの社内準備、資料の印刷費用などについては、自社負担となります。

 

Q3)本制度に採用された後は、標準化アドバイザーの援助は受けることができるのでしょうか。

回答:

いいえ、採用された後は、日本規格協会の規格作成をする部署が担当します。これ以降の実務フローは、一般的にJIS提案の公募手続の場合と類似しているといわれます。また、規格を作成する過程で公設試における試験・実験費用や出張費などについては、国庫からの支援を受けることができます(ただし、持ち出しが前提となります)

 

Q4)本制度の採用されるためには、特許権の取得が絶対条件と言われましたが本当でしょうか。

回答:

この趣旨は、特許権などの取得によりコア技術として保護すべき対象が技術戦略上明確化されているかどうかがポイントとなります。そのためクローズ戦略として、技術のノウハウ化(場合によっては、特許法第72条の先使用権の立証戦略も含む)により、認定手続を進めることは不可能ではありません。

 

Q5)本制度は中小企業でないと活用は困難でしょうか。

回答:

そんなことはありません。パンフレット等には「中小企業等」とありますように、大企業様でも結構です。実際にも、大手企業様がチャレンジされて制度に採用されています。

 

Q6)JSAとの協議にはかなり作業的に大変と思われる。ファインテック技術法務事務所では、JSAとの協議の中でどのような支援をしてもらえるのか。

回答:

一般的に、日本規格協会との協議(初回では、アドバイザーとの協議)については、かなり専門的な知財戦略の話から始まります。例えば、既存の使える標準規格はないか(つまり、規格しないといけない制度上の状況)、標準化することによる企業のメリット、デメリット等の整理が求められます。これらの整理は時間がかかることが多く、規模の大きい企業の方でも人員として難しい場合もあります。

弊所では、このような時間のかかる協議の事前資料の整理から、協議に関する論点整理、オープン/クローズ戦略のサポートまでを行っております。特に、スタッフが少ない中小企業様にとっては、作業のアウトソーシング化にご都合が良いと思われます。

 

Q7)本制度に採用された場合、日本規格協会に丸投げすればJIS標準規格を作ってもらえるのか。

回答:

いいえ、規格の内容は日本規格協会のアドバイスを受けながら、各企業が作成していくフローとなります。

 


【一般的なお問合せ】

Q1)特許を取得したのであるから、標準化とは関係ないように思うがいかがか。

回答:

特許権を取得することは、知財権の取得をすることです。知財権については、自由にこれを使用した場合は当然ながら法的措置の対象となります。これに対して、標準化とは新しい製品や技術を一般社会に広く普及をする営業宣伝能力があります。

従来は、標準化については、旧通商産業省を始めとする国家的な政策のもとで行われていましたが、最近では企業のビジネスツールとして活用されることがあります。

 

Q2)標準化といっても、規格の種類によってはいろいろな効果があるが、どんなものがあるか。

回答:

標準規格にはいろいろな種別がありますが、JISQ9001、14001といったQMSを除いて、以下のような種類と効果があります。

 

性能評価規格

自社の開発した製品や技術を適切に評価するための試験方法、評価基準などを標準化(規格化)するものです。自社製品の優れた品質基準を公的基準とすることから、まがい物の市場流通をの排除が可能です。また、競合他社の市場参入にあたっての参入コストを設けることにより、市場のリードを図ることが期待されます。

 

製品規格

自社の開発した製品の使用、求められるスペック(寸法、重さ、材質、性能等)を定めた規格をいいます。新しい製品を市場に投入する場合には、既存の製品規格がないことがあります。そのため、いち早く製品規格を開発することにより差別化を促進したり、市場におけるプレゼンスを発揮することができます。

 

Q3)試験方法の規格の構成イメージは何か。

回答:

まず、規格が適用される範囲の確定から始まります。また、強制法規に関連するものが無いかどうかを十分に調査する必要があります。

次に、全体的なイメージでは、方法の原理、試薬など、装置や測定器の構成、資料等の保管、その他試験手順といった構成となります。中には、報告書の体裁を定めることにより、資料、報告書フォーマットを規格化することもあります。

 

Q4)標準化は自社のみの手続きでも可能か。

回答:

JIS法に直接記載があるわけではありませんが、国家標準については日本国内全体に適用される基準であるため、さまざまな団体・企業の意見を伺い、かつ反映するプロセスの必要があります。そのため、賛同者や同業他社とともに取り組むケースが多いのが現状です。特に、通信事業といった日進月歩の分野については、ブラックボックス化によりコア技術の秘匿による競争部分と市場拡大を目指すためのインターフェース部分が業界内でよく議論とされます。このため、早い段階から関連業界との意見交換を進めることも一策といえます。もっとも、「新市場創造型標準化制度」により、中小・零細企業一社でも規格提案が可能な制度もあります。

いずれにしましても、最終的にはJISCによる審議結果を得て、パブリックコメント手続により規格化手続が行われます。

 

Q5)強制規格とは何か。

回答:

建築基準法、航空法などの法律を根拠として、JIS基準による工事施工、材料選定を義務化している場合があります。これは、JIS基準の採用によって、信頼性の高い施工等の担保を図る必要がある公的管理の及ぶ分野に関連します。

 

Q6)JIS規格について、ファインテック技術法務事務所ではどこまでサポートできるのか。

回答:

弊所では、関連する規格、強制規格に関する調査、知財と標準化を進めるに当たっての論点整理、コア技術の秘匿化に関するアドバイスに始まり、JIS規格などの規格策定に当たっての必要な助言等を行っています。また、規格の策定にあたりましても、ご多忙な企業様の片腕として、作成のフォローをいたします。

 

Q7)性能評価規格か製品規格のいずれが良いか、その明確な基準はあるのか。

回答:

明確な基準はありませんが、一般的には製品規格については、関連する業界が輻輳する場合が多いこと、インターフェース規格にも関連するため多数の企業との調整が必要であること、また特許権等といった知財権の一部が標準規格に含まれることとなるため、投資コストの回収の視点から言っても中小・零細企業向けの作成する規格としては規模が大きいものと考えられます。

これに対して、性能評価規格については、知財権と標準規格が原則として被らないようにすることが多く、中小・零細企業向けの策定規格と考えることもできます。